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ある週末、仕事の同僚と飲んでいると、友人からの着信が入った。電話越しにいきなり金を貸してほしいと言ってきた。

なにか困っていることがあるらしい…

貸すのはいいが事情を聞かせろということで、早々に飲みを切り上げて帰りに友人の家に寄った。

そして、友人の家に到着した私は、3週間ほど前から転がり込んでいるという未成年の女の子と対面した。

状況が呑み込めなかったので、友人にどういうことか尋ねると、その女の子はどうやら家出をしていて行く当てがないところ、出会い系サイトを通じて私の友人と知り合い、居候するようになったと言う。

その子に家出の原因を聞いてみたところ、とんでもなく悲惨な家庭環境で暮らしていたことが伺えた。

母親の再婚相手である義理の父親からのDVを毎日のように受けていたというのだ。徐々にエスカレートするDVに耐えかねて、母に助けを求めたところ、なんと母親は「あんたが言うこと聞かないから悪いのよ」と冷たくあしらったと言う。

それからもおさまるどころか激しさを増すDVに我慢の限界に達した彼女は、こっそりと荷物をまとめ家を飛び出したそうだ。

なんとも気分の重たくなる話だが、事情を聞いた友人は未成年だと知った上で、逮捕覚悟で家に匿っているのだった。

しかも、今では二人の間には恋愛感情が生まれ、付き合っているという。だが、相手が家出している未成年女の子である以上、友人にあらゆるリスクが伴うことは事実だ。

もし公になった場合、証拠となるものが残っていることがもっとも不利な状況に陥ると考え、友人と女の子それぞれの携帯電話のすべての履歴を削除するように指示した。

家出女子の事情を聞いて気の毒に思った私は、3万円を友人に手渡し家を後にした。

行く当てのない未成年の女の子がとる行動

出会い系サイトの掲示板の画像

最近、未成年女の子の援助交際などのニュースをよく目にするようになったが、やはりそういった女の子たちが増加しているのが原因なのだろう。

しかし、一方では未成年に対する法律改正で、未成年の女の子たちは夜の街をうかつに徘徊することができなくなった。至る所で生活安全課の捜査員が未成年の取り締まりをおこなっているからだ。

友人の家に居候している女の子も、一度補導されかけたようだが、隙を突いて逃げ出すことに成功したらしい。それ以来、警戒して陽が落ちてからの夜の街は歩けなくなったという。

そんな彼女がもっとも大事にするのは1台のスマホだ。しかし、親名義なのでいつ止められてもおかしくない。

家出を敢行したものの行く当てのなかった彼女は、街で配られていた広告入りのティッシュから、出会い系サイトの存在を知る。

それからは、出会い系サイトの掲示板に救済してくれる男を求める書き込みを毎日のように繰り返していたという。

彼女をこれ以上傷つけないためにも、誤解があってはならないので言っておくが、彼女は決して、ニュースで取りざたされる女子高生のように自分の体を対価にした援助交際が目的で神待ちをしていたわけではない。

ただ純粋に、助けてくれる神様のような存在を求めていたのだ。しかし、出会い系サイトを利用してみても言い寄ってくる男のほとんどは下心を抱いて接してきたそうだ。

ネットカフェに寝泊まりする日々

ネットカフェの画像

彼女は、出会い系サイトで出会った男から援助されたお金で生計を立て、主にネットカフェに寝泊まりを繰り返していたそうだ。

そして、無償で救済してくれる本物の神様を見つけるために、ネカフェのPCを使って神を探し続ける。

友人と出会う前に数人の男と会ったことがあるそうだが、準性的な行為でわずかばかりのお金を得ていたらしい。そこに関しては深く追及はしなかったが、世の中の男すべてを敵視するような病んだ考えが根付いてもおかしくない状況だったことだろう。

しかし、不幸中の幸いか彼女は、多少なりともまともな神に出会うこととなる。それが、しがないサラリーマンをしている私の友人だ。

二人に明るい未来はあるのだろうか

後日、気になったのでまた友人の家を訪ねてみた。夜も更けて彼女は先に寝室で寝ている。

友人と酒を飲みながら、未成年の女の子について語り合っていた。友人は、真剣に彼女を救いたいと言う。

私は聞いてみた「お前は本当にあの女の子が好きなのか?救ってあげれるの?」友人は、しばらく考えて答えた。「一緒に居たいけど、先のことはわからない…」それを聞いた俺は何ともやり切れない思いに駆られる。

二人は付き合っていると言うが、正直私から見れば、単に女の子から依存されているだけのように感じた。それは、愛情ではなく、頼る術がないがために神様にすがっているそれである。

確かに彼女の親は酷い親かもしれない。だから話し合うのは無駄だろうし、下手すれば友人は訴えられる可能性がある。だからと言って、警察に行くわけにもいかない。施設に入れられることを恐れている彼女は、絶対に行政への相談は拒否している。

どう考えても行き詰った状態だ。さすがに捜索願いも出していることだろう。このままでは、いづれはバレて友人が逮捕されかねない。

援デリ業者からの甘い勧誘

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さらに友人を悩ませていることがある。それは、彼女が出会い系サイトで援デリをしている女友達から勧誘を受けているということだ。

その友達は、住める部屋を提供することと、毎月50万は稼げるという話を持ち掛けてきているらしい。よほど信頼しているのか彼女は友人になんでも隠さずに相談しているようだった。

彼女はとにかく早く部屋を借りて、自立を目指している。ただ、それには金が必要だ。そのために彼女は援交でも何でもする勢いだ。

友人はちゃんとした職には就いているので、安定した収入があるにはあるが、借金があり、まとまった金を工面するのは難しいだろう。友人が彼女にしてあげられることは、泊まる場所と食事の提供くらいで精一杯だ。

援デリ業者とは

出会い系サイトを介して、未成年女の子を派遣する援デリ業者について調べてみた。

援デリ業者とは、出会い系サイト内を活動拠点とした全国的に存在する闇業者で、一般の利用者を装ったアポインターが、援交希望の男性とのアポを取る。そして、キャスト登録をしている未成年の女の子が男性のもとに派遣されるという仕組みである。

居住場所の提供や高額収入という甘い話を持ち掛け、勧誘してくるため、行く当てのない家出している神待ち女子たちは、こうした援デリ業者からの誘いに乗ってしまい抜け出せなくなるケースが多いらしい。

神待ち女子たちの真の実態

家出している未成年の女の子たちは、補導員の目を気にし、夜の街もうかつに出歩けない。補導を恐れて、マックにすら行けない。ゲームセンターにもいけない。ネカフェやカラオケに泊まりたくても金がない。

出会い系サイトで神待ちしようにも、年齢認証が義務付けられるなど、年々、出会い系サイトの規制が厳しくなる一方で、神様と出会うこともままならなくなってきている。

だから、行く当てもない、頼る術もない八方塞がりの家出女子たちにとって援デリ業者は、ある意味セーフティーネットのような機能を果たしていると言える。

住む場所やお金のために、なによりも生きるために、やむを得ず身体を売る。これは現実に起きている神待ち女子たちの真の実態だと私は感じた。

友人と未成年女の子のその後

それから数週間が経過しようとした頃、友人から連絡が来た。一緒に住んでいた彼女が突然消えたというのだ。

援デリ業者の誘いに乗った、あるいは警察に補導されて強制送還されたのかもしれない。友人に知る術はなかった。

彼女のスマホに友人とのやり取りなどの履歴は一切残されてはいない。友人も、彼女との唯一の連絡手段として利用していた、フリーメールの履歴も完全に消去していた。

ただ、たとえ補導されていたとしても、恐らくは彼女は友人のことを何一つ喋らないだろう。それだけは彼女と何度かあった私から見てもわかる。

なぜなら彼女にとって私の友人は、短い期間ではあるが、紛れもなく神様だったからだ。

だが、友人の心に深い傷跡を残したことは推察できた。結局、彼女を救ってあげることができなかったからである。